今日は、久しぶりに新宿へ行った。都庁が移転した頃から一度も新宿なんて行った事が無かったので、その変容ぶりに驚いた。お仕事は早くに終わり、直帰。

時間があるので、雪崩の体験を綴ってみよう。


春先など、谷筋を歩いていると、デブリなどを見て、オオッ~と思う事がある。岩溝なんかから、ザザッと音をたてて流れ下る雪に驚く事もある。

おいらが、雪崩を体験したのは2度ほど。いずれもスキー登山で、自らが雪崩の引き金を引いてしまったのだ。それも、典型的なやつだった。ただ、幸い埋まった事は無い。


一度目の体験は、2001年2月、岡山県の花知ヶ仙に向かう途中だった。三子原川から妹山鞍部に達し、花知ヶ仙への尾根に乗った。途中、尾根上が密藪となりスキー操作がままならず、山腹に回避した。ベタ白の伐採跡をスキーで横断中に、足下から雪が盛り上がり一気に崩れて行った。幅5m、距離50m位いの小規模なものだったが、震え上がった。雪崩は真冬であったにもかかわらず、全層で、その痕は見事に青い根曲がり竹の原が出現した。スキーを脱いで、一目散に尾根に上がった。そして、藪尾根を掻き分け、敗走した。

イメージ 1
花知ヶ仙へ向かう。この先で、雪崩た。


2度目の体験は、約10年後の2010年4月、宝川上流の布引山の帰りだった。宝川から布引山に登り、雨ヶ立山の鞍部から菊石沢上部を快適に滑り、雨ヶ立山の尾根に乗ろうとしていた。朝硬かった雪は気温の上昇で急激に緩んでいたのが判った。尾根の腹を斜滑降気味に進むも、滑りが悪くどんどん高度を落としてしまった。その間、モサモサしていた雪が大量に谷に流れ落ちていった。雨ヶ立山の尾根には復帰できず、急な尾根の末端に出てしまった。

イメージ 2
布引山近くより。

イメージ 3
山腹の斜滑降で、すでに大量の雪が谷に落ちて行った。


ふと見ると、広い谷の向こうに予定の尾根が見えた。無木立斜面で200m位のトラバースで行けそうだ。斜度は30°位だろうか。トラバースせずとも、支尾根を少し登り返せば辿りつける事は確実であった。

おいらは、楽な道を選んだ。そして、谷に入って直ぐに。
足元から泡が立つように雪面が膨れだした。そしてみるみる泡立ちが下へ、横へ広がり、谷全体が膨れた。そして、全体が一体となり流れ出した。流れは下の方で収斂し、谷に沿って右へカーブして行った。
おいらは、ただ唖然として見ていた。気がつくと足がワナワナと震えていた。足元を見ると、足元からナイフで切れ込みを入れたような段差が出来ていた。我に帰り、ソ~オっと後づさりし、谷から脱出した。
大変な事になったと思い、「誰かいるかぁ~」と大声で叫んだ。なんの返事も無かった。いいのか悪いのか判らない。気が動転しブナの茂る急な尾根を逃げるように下った。

雪崩の規模は幅約100m(いや、そんなにあるはずはない、その1/3程度か。兎に角気が動転していたので。)、距離は止った位置が確認できなかったが300m超だと思う。まさか、こんなに広がるなんて。帰ってから数日間うなされた。


2回の雪崩とも、スキーで山腹を横断中にスキーのシュプールがきっかけで発生したものである。山スキーヤーがヤラれる典型的な事例である。そのような例は充分承知していたにもかかわらず、やってしまった。