山行日:2011.8.14~15
目的地:金田峠
コース:8/14湯元(7:30)~金精沢~金精峠下(9:00)~(9:30)金精峠(9:50)~念仏平避難小屋(12:00)  8/15念仏平避難小屋(5:00)~山王尾根入り口(5:20)~2274m峰~2207m峰(7:00)~2193m峰~1971m峰~(11:50)金田峠(12:10)~1949m峰~(13:50)於呂倶羅山(14:30)~山王林道~山王峠(16:00)~光徳牧場(16:40)


三峯五禅頂の日光修験道を知ったのは、山渓アルバインガイド「奥日光・足尾・那須」を読んでからだ。著者の岡田敏夫氏自らネギト沢のコルで、室町時代の石祠を発見した事が掲載されていた。ネットで検索してみると群馬県の山岳会のサイトで、その時の事、その前後の事が詳しくしるされていた。
何故か、三峯五禅頂夏峯ルートに惹かれた。そして、それまであまり行くことの無かった日光の山々に出かけるようになった。夏峯ルートを歩いてみたいと言う欲望が芽生え、ジャブを繰り出すように恐る恐る、隠し山、宿堂坊山、於呂具羅山などに行ったりしてみた。
そんな折、2009年に池田正夫氏の「全踏査 日光修験 三峯五禅頂の道」が出版され、夏峯ルートの全容がようやく判った。ヤジノ沢右岸尾根と金田峠周辺は、おいらの実力では持て余すものがあると感じていた。たそがれオヤジさん曰く「ヤブ天国」との事。
一昨年、ジャブの一環として根名草山に行った折に、山王尾根の入り口を捜してみたが見つからなかった。所が、昨年「su3777m」さんが、山王尾根入り口の標識がある事をブログ上で紹介されていた。
そんな事もあって、自分には荷が重いと思われる本コースを歩いてみる事にした。ただ、鈍足のおいらに皆様のような日帰りはとても無理。念仏平避難小屋に前泊する事にした。

8/14
湯元の駐車場で、出発準備。キャンピングカーが多く停まっている。タクシーが居ないか見廻すが、残念ながら姿形も無い。中曽根コースへ行く広い道を歩き出した。のっけから暑さにヤラれた。直ぐに汗ダクとなる。
涸沢を渡ると道は細く急になる。どうやら金精沢を外れている様子。引き返し、涸れ沢の直ぐ手前のうっとうしい小沢を登る。笹の露に濡れた。
金精道路の橋桁をくぐる。広いゴロゴロの涸れ沢となる。

イメージ 1
金精道路を2回横断。3つ目の橋の先は、堰堤が連続していたので、そこからは金精道路を歩いた。

イメージ 2
金精様は凛々しいねぇ。

トンネル手前で、大休止。暑すぎる。バイクツアーの人々が押し寄せてきた。怖いので、出発。

イメージ 3
金精様を見るのは大好き。でも登ったのは1回だけ。

峠から温泉ヶ岳の道に入ると日蔭になりいくらか涼しい。お一人降りてきた。その後、山王峠まで、ただの一人とも出会わなかった。
温泉ヶ岳はパス。


イメージ 4
明日辿る、尾根が見えてきた。ここから見る限り、平和そうな尾根に見える。

イメージ 5
「su3777m」さんが発見してくれた「山王尾根入り口」の標識を見つける事ができた。枯木の高い位置に打ちつけられていた。温泉ヶ岳方面から来ると見つける事は困難。

イメージ 6
旧念仏平避難小屋の水場。位置的には「旧」の方が好都合なのだが。

イメージ 7
新念仏平避難小屋。1.5階建て。1階は天上が低い。2階は登るのが面倒。一階に陣取った。しかし、誰も来なかった。


イメージ 8
新念仏平避難小屋の水場。歩いて30秒。旧より細い。日照り続きの時は旧で水汲みをしておいた方が良さそうに感じた。

昼飯を食って、ゴロンとする。文庫本を読む。朝の好天がうその様に曇り、涼風が吹き抜ける。
3時頃からバターピーをつまみに酒パックを飲みだした。このマッタリ感が何とも言えないねぇ。
4時半には、晩飯の準備。5時半には寝た。
9時過ぎに轟音で目が覚めた。豪雨が降っていた。あ~ぁ、明日も笹薮でずぶ濡れか・・・。


8/15
3時半起床。月明かりが小屋の窓から射している。小屋の窓から。温泉ヶ岳と男体山。まずまずの天気のようだ。まずは、タバコを一服。コーヒーを飲んだりしているうちに、時間が過ぎていた。

イメージ 9
5時出発。昨晩の豪雨の影響か、山々は濡れていた。晴れているのに、いきなり上下カッパを着用。ザックカバーも。

「山王尾根入り口」にて磁石をセット。いよいよ薮入りだ。ノッケから迷う。2274m峰はすぐ近くと思っていたが、見つからない。やや北方にそれらしき高みが見える。藪を漕ぐ。

イメージ 10
2274m峰付近より。ヤレヤレ。

山王尾根入り口付近に2、3のテープ類を見たが、その後は2193mまで全く無し。ヒト道も無し。時折鹿道が現れ、助かる。直ぐに全身ずぶ濡れ。靴は防水スプレーをしたにもかかわらず、カポカポ。藪は、これまで行った日光の中では最高に激しい。笹、石楠花、針葉樹の幼木。笹は根曲がり竹でないので、背丈を越えても何とかなる。石楠花と針葉樹の幼木のミックスには閉口した。
尾根上を回避したりしながら進んだ。しかし、濡れた笹の片斜面は良く滑る。時折見える地面がなんとも嬉しい。
2207m峰は細長い。端から端へ様子を窺がう。2190m圏の頂きが何とか見えた。磁石をセットし山腹を下る。尾根型が現れホットする。
2190mピークを巻きたいところだが、慎重を期し、ピークへ登った。山頂は2つのピークからなっていた。手前のピークに戻り再び磁石をセット。この時ボールペンを失っていることに気がついた。記憶力の無いおいらの事、以降時間経過は、殆ど不詳。ここは、すぐに尾根型に乗り安心して歩けた。ゲキ藪は変わらない。
2193mは藪には苦しめられたが、ルート上の不安は無かった。高薙ぎ山の登山者が居る事から、以降、少しは踏み跡が現れるのではないかと言う期待があった。

イメージ 11
2193m峰

案の定、下り口にテープが2つ巻いてあった。しめた、ここを下ればよいのだ。しかし、いつまでたっても尾根型は現れなかった。不安になり、辺りを観察した。左手に尾根が見える。あれに違いないと、山腹をトラバース。石楠花藪が厳しかった。しかし、到達した尾根は小尾根で、前方に高々とした山が見える。すぐに高薙山の一角だな、思う。木に登り、辺りを再び観察。遥か右手に平な尾根が見えた。あれが正解か!クソッタレ!再び山腹をトラバース。このトラバースは精神的にもきつかった。沢状を2箇所越えると尾根に出た。目の前に赤テープがあった。助かった。
ホットするも束の間、急斜面でまたまたルートを失った。先ほどと全く同じパターン。左へ外し、右へ戻る。疲れたワイ。
1971mの下りは、慎重を期した。これ以上迷うと今日中に帰れなくなる。気を引き締めて磁石をセット。特段迷いやすい所ではなかった。
いよいよ、金田峠が近づいてきた。傾斜が緩んだ所から、辺りをキョロキョロ。石祠探しだ。

イメージ 12
金田峠に何とか午前中に着いた。でも、遅すぎるワイ。

アセッテ石祠探しを行ったが、見つからない。時間的に随分遅れている。諦めよう。

イメージ 13
足下に刈り込み湖が見える。人里に近づいたような気がした。

1949m峰は急斜面だった。笹が濡れていて滑る。笹を掴みながらの登りとなった。最後の於呂倶羅山の登りは石楠花がうるさかったが、尾根を小さく回避すると思っていたほどの事は無かった。

イメージ 14
於呂倶羅山到着。遅い昼飯を食った。

於呂倶羅山まで来れば、もう大丈夫。と思ったが、とんでもない。濡れた笹の急斜面の下りは恐ろしかった。笹を掴んで何とか下るといった按配。テープ乱立のおかげで下れたようなもの。磁石だけでは何処に降り立っていたことか。時間はかかったが無事山王林道に到着。助かった、との気分が覆う。この下りで水を全て飲み干してしまった。

イメージ 15
山王林道より。ドビン沢の奥の山が怪しく聳えていた。

山王林道をトボトボと歩いた。喉の渇きが耐え難い。再び山道に入り、光徳目指して駆け下る。光徳牧場でアセロラドリンクを一気に飲み干す。外人さんに話しかけられ、相手をしているうちに、最終バスの時間が過ぎてしまった。あ~ぁ。再び車道をトボトボ歩く。

兎に角、夏峯ルートの最難関と思われる区間を歩くことができた。しかし、ツイていた部分があった。終日展望があったことだ。ガスにでも巻かれてしまったらルートミスからの復帰が困難だったかもしれない。少しでも天気がいい日に、と思い、実行日を一日遅らせたのは正解だった。しかし今後、このコースを再び訪れることは無いと思う。おいらにとって、夏峯ルートは厳しかった。