どうやら、道迷いの常習者のようだ。
これまでの道迷いを振り返ってみると、いくつかの共通点があるように思える。

①下りで道を失う。
②枝尾根に入り込む。
③里山などで、地図に無い道や林道に出くわし、何がなんだかわからなくなる。
④その山をナメていた。
  ・25000図を持って行かなかった。
  ・地図を良く見ず歩いてしまった。

本格的に道に迷ったのは2回。
今回は、その内の「迷い狂った」時の事を記録しておこう。


山の名前は、天柱山。岡山県総社市にある標高330mの山である。付近に「豪渓」というチョッとした景勝地があるが、あくまでチョットした規模である。

2001.12.22。11時に「平成8年度版 岡山の山 百選」だけ携えて豪渓を出発した。山頂まで、僅か40分の山とはいえ、出発時間からして「山をなめきっていた」事がうかがわれる。

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豪渓付近。

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急坂を登ると、すぐに休憩舎に着いた。

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なかなかの眺めであった。

この後、太い鎖にしがみ付き登り、傾斜が緩むと奥の院。ユルク下り、少し登り返すと展望の無い天柱山に着いた。1時間足らずの歩きであった。
「岡山の山 百選」では、豪渓寺へ下るコースがガイドされていたが、下り25分。あまりにも短い。サブコースとして僅かに記述のある豪渓北端への道を行く事にした。

道は藪に覆われはっきりしないが青いテープがぶら下がっており、これを追う。「岡山の山 百選」によれば、次のピークで北進し下る事になっているが、それらしい道は見つからない。ピークには空き缶、酒瓶などが散乱していた。西方向に青いテープを見つけかすかな踏み跡を辿る。北進するはずだが、その様子は無い。1/25000図を持っていなかったので、踏み跡を辿るしかない。
やがて、肝心な踏み跡を見失ってしまった。起伏の少ない雑木林の中だ。少々アセッタ。が、近くに有刺鉄線を見つけ再びかすかな踏み跡に戻る。これを辿る。すでにどこにいるのか全くわからない。
やがて、車の音が聞こえてきた。車の音は聞こえるが、なかなか車道に出ない。ようやく林道状の道に出る。目の前には岡山自動車があった。すでにガイド本の概念図の範囲から大きく逸脱している事がはっきりした。土地勘が全く無く、ここが何処だか全く判らないのだが、林道に出た事から取り敢えずはホットした。
高速道路沿いの林道を北上すれば、豪渓上流の県道に出られると考え、北進する。しばらく歩くと断崖に出てしまい、林道はここで途絶えていた。脇の高速道路の桁下は100m近くもあるように感じる。とても下れないと思った。
思案の結果、天柱山に戻る事を決断した。林道を戻り、薄い踏み跡、有刺鉄線、と辿るもその先でルートを失う。アガキ、歩きまわってしまった。

「迷い狂った」。

傾斜の無い森でロクな地図も無しに天柱山に戻る事は不可能であると悟った。再び高速道路を捜しに戻ろうとした。磁石だけがたより。北西へ進むしか無い。
心なしか薄暗くなった頃、車の音が聞こえ高速道路脇の林道にようやく復帰。再び断崖の所に行ってみた。
最早ここを下るしかない。あたりをうろつき、下れそうな所を捜しまわった。すると薄い踏み跡のようなものを発見。断崖を大きく迂回して繋がっているように見える。草を掴みながら踏み跡(のようなもの)を辿る。冷や汗が吹き出した。そしてついに下りきった。助かった。
見上げると高々と高速道路の桁が聳えていた。目の前に舗装道路があった。脇の川が豪渓に繋がる川だろう。下流側に歩いた。県道の標識。賀陽町の標識を見る。
川沿いに花崗岩の露出が見えてきた。16:30に豪渓に帰着。12月の渓谷の底。すっかり薄暗くなっていた。

結局、ガイド本で2時間足らずのコースに5時間30分も費やしていた。アセリのせいか、殆ど休み無しで歩き続けていた。これまでの道迷いで最悪の迷い方であった。
標高330m。里山恐るべし、を肝に銘じた。