山行日:2011.2.13
目的地:ウノタワ、大持山
コース:名郷(8:15)~旧白岩集落(9:15)~鳥首峠(10:10)~(11:30)ウノタワ(12:10)~大持山(13:00)~妻坂峠(14:00)~名郷(15:10)

三連休を利用してスキーに行こうと思っていたが、雪のため中止。最近は、雪降りの日にスキーには行かなくなってしまったのだ。太平洋側に晴れが約束された日曜日に定番のウノタワへ出かけた。

金・土の雪で、名栗川の道は雪に覆われているに違いないと思い、電車とバスで出かけた。
服装は、スキーズボンに通勤用のせーター。この格好で電車に乗るには勇気が必要だ。早川義夫氏の「かっこういいことは、なんてかっこう悪いんだろう」を座右の銘にしているおいらは、恥ずかしさを胸の奥に押し込んで電車に乗った。

そもそも、「かっこいいことは、なんて~」などと考えている事自体、いかんのである。格好について無頓着になってこそ、おいらにとっての理想像なのである。この心境に至った瞬間に座右の銘は霧散しているはずである。

などと無意味なことを考えながら、そ知らぬ顔で電車に乗った。
名郷行きのバスは、座席がほぼ満杯になるほど人々を乗せた。
塩カルの粒がまき散らされた車道をトップで歩き出してしまった。雪が深かったらイヤだなぁ。後ろを振り向きつつ歩く。

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石灰工場に先頭で着いてしまった。

石灰工場事務所脇で、いつものように100円の缶コーヒーを飲む。下を見るとお一人登ってきている。とりあえず出発。くるぶし程度の雪。さほど深い雪では無い。足跡無し。

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白岩の廃集落に到着。

廃屋に入り、スパッツを着け、焼きソバパンを食っていると、おいらよりやや若めのオッサンが通り過ぎて行った。
おいらは、安心して出発した。雪は浅く、隠れている石に載ったりしてすこぶる歩きにくい。先行の足跡は、黒々としている所が多い。足跡を見ながら歩いていると、先行者の歩幅が異常に広い事に気がついた。一足以上広いのだ。即ち30cmは歩幅が広い。歩きながら計算してみた。10歩で3m。100歩で30m。1000歩で300m。10000歩で3km。山の3kmは途方もなく遠い。先行者に追いつくことは無いだろうな。
などと考えていると、もう一人の年長のオッサンに抜かれた。こちらはスゴイピッチ。ピッチの違いを計ろうとしたが、おいらのポンコツ頭では同時に2人のピッチを計数する事はできなかった。時間当たりの歩数を数えようとしたが、オッサンは遥か先に行ってしまい、計数不能となってしまった。結局抜かれたオッサン2人には、二度と会うことは無かった。
おいらは飛び抜けて鈍足である事を再認識した。ちなみに、たそがれオヤジさんが超高速であるらしいウワサを目にしている。羨ましい限りである。

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超低速であっても、鳥首峠に到着。天気はすこぶる良い。風も無い。思った以上に雪が少ない。真正面に楽しかった大平山が見える。

ここからは、急坂が続くが、雪が少ないのでアイゼンは着けなかった。先行者の足跡を拾いながら登った。雪が少なく、足裏に木の根や岩・石ころを感じる。雪がもう10cmmもあれば違うのだろうが、急斜面で著しく登りずらい。少し足を滑らしたとき、反射的に腕が動く。激痛が肩に走る。痛みがおさまるまで立ち尽くす。こんな事を何回も繰り返した。右手で木がつかめないので、左に樹木が来るように歩いた。先行の足跡を避け、なるべく雪の深い所を歩いた。なんか、イヤになっちゃうね。昨年は膝痛。今年は肩痛。肩痛はタカをくくっていたが、結構影響する。足場の悪いところで苦労するのだ。
傾斜が緩んだ所で安全のため、アイゼンを着けた。

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傾斜が緩めば楽しい。

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武甲山が見える。

わずかだが、岩場のいやらしい所に差し掛かった。いつもらサラリと通過できるのだが、今日は右手が使えないので難儀した。僅か10mが下れない。夏道をあきらめ、西側に廻り込みケツをついて通過した。参った。

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こんな程度の岩に苦労させられた。

ここを通過すれば、ウノタワはすぐ目の前だ。

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ウノタワ到着。ずいぶん時間がかかってしまった。

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今日も誰も踏み入れていないと思いきや、山中方面からの踏み跡があった。

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ウノタワは、ここの所秋と冬に必ず訪れている。地味だが、気に入っている。

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雪の量は少なく、10cmも無いだろうか。コッフェルは、昨夏錫の水場でよからぬ事をした名残りで、黒くなったままだ。握り飯、ラーメン、握り飯、コーヒーで、ゆっくり過ごす。誰も訪れない。

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いつまでも居るわけにはいかない。重い腰を上げる。

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急坂を登り詰めた所からウノタワを見下ろす。

伝説によれば、ウノタワには昔池があり、ウが住んでいたという。ウノタワの成因は、何であろうか?
ドリーネが埋没して平坦地ができたのではないか。いや、俯瞰するに山体の崩落かズレによる二重山稜ではないか。
などと素人考えをめぐらすのであった。

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奥武蔵には珍しく、自然林が続き楽しい。

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こんな道が続けばよいのだが。

横倉山を越えれば、大持山は近い。妻坂峠分岐からは、多くの踏み跡で道は締まっている。

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大持山到着。山頂には2組。相変わらず、大平山が威張っている。他の登山者に注目されることは無い。八ヶ岳が遠望できた。両神山が樹間から見えた。雲取山(?)も山頂部だけ見えた。長沢背稜の山々は丸見えだった。拳岳方面のみ薄い雲がかかっていた。

タバコを1本吹かしてオサラバ。
気温が上がったのか、アイゼンの団子に苦しむ。高下駄か。重さで言えば鉄の下駄。

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妻坂峠への下り緩斜面では、雪が減り助かった。

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下部の急斜面は陽が当たらず粉雪がたまっていた。こうなれば、快適そのもの。雪の深い所を選んでワッシワッシと下る。



アッサリと妻坂峠に到着。

名郷への道は、多くの人が登ったのか、しっかりした踏み跡が着いていた。しかし、またしても浅い雪で石車などに乗り、苦しむ。肩に激痛が走り、しばし立ち止まり痛みが去るのをじっと待つ。
車道に出てシャーベット化した雪に恐れをなす。バスの時間が気になりだした。時計を見ながらの歩きとなる。

名郷バス停では5分と待たずに誰も乗っていないバスがやってきた。今週も厭な疲れを残しつつ電車を乗り継いだ。
そう云えば、電車の中で格好の事を忘れていた。