山行日:2010.12.29
目的地:蕎麦粒山
コース:浦山大日堂(7:00)~逆川・広河原林道~ワサビ田作業道入り口(8:00)~ワサビ田①(8:20)~ワサビ田②・鉄塔道分岐~一工場谷~送電線下~都県境1360m鞍部(10:50)~蕎麦粒山(11:10)~(11:40)仙元峠(12:40)~仙元尾根~浦山大日堂(15:00)


昨年、一工場谷の一番東側の枝沢から日向沢の峰西方に行った時、一工場谷の本谷左岸に明瞭な道があった。一昨年、蕎麦粒山北尾根を登った時に東側から明瞭な道が合流してきた。これらの事から、一工場谷本谷から蕎麦粒山北尾根に繋がる道があるのではないかと想像し出かけてみた。
ネット上では、一工場谷の情報は極めて少ないので、今回は探索的な歩きとなった。そもそも、あるのか無いのか判らないような道を探して、ルートも決めずに歩くのははじめての経験だ。なので、危ないと思ったら、必ず引き返そうと決めていた。

浦山大日堂の駐車場にモチロン先客は居なかった。

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逆川・広河原林道を布靴で歩く。足が滑り、スピードが上がらない。おまけにコンクリートミキサー車が次々に上がっていく。恐ろしい。

林道脇にある作業小屋にバイクとヘルメットが転がっていた。作業小屋の壁からは大鹿1頭・子鹿3頭の頭がニョキリと出ている。不気味である。爺さんむが居るのかと小屋の方を見ると、青いヤッケの爺さんと目が合った。爺さんは、何故かおいらに頭を下げた。おいらも、ペコリと。ルートの様子を聞こうかと思ったが、やめた。
ワサビ田作業道に入る。

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雪の被った桟道は怖い。一歩一歩慎重に歩いた。

一つ目のワサビ田を左に見送り、一工場谷左岸に付けられた道を行く。僅かで、二つ目のワサビ田に着く。ここで一工場谷を左に渡れば薄い鉄塔道がある。右にも鉄塔道があり、これは蕎麦粒山北尾根下部の鉄塔に出られるようだ。

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鉄塔道交差点。おいらが目指すのは、一工場谷本谷沿いに続く道である。

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雪の着いた橋が次々に現れる。怖くて、あゆみが遅くなる。

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三つ目のワサビ田。この上で沢が二つに分かれた。左を選択。

間もなく送電線が頭上に見えた。

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なおも歩くとブルーシートが見えてきた。ブルーシートの中はワサビ田だった。道はここでお仕舞い。

結局、蕎麦粒山北尾根に続く道は見つからなかった。
ここで予定を変更し、危険が無い限り一工場谷を詰める事にした。目指す場所は蕎麦粒山東方、1380mピークとの鞍部とした。蕎麦粒山に直接突き上げるとドエライ急斜面になっているような気がしたから。
谷を右に左に歩きやすいところを探しながら歩いた。小さな高巻きもした。1120mで谷が3つに分かれた。一番右の谷に明るい陽が差し込み、おいらを誘っている。真ん中は緩やかで登り易そう。左の谷は暗く、狭く、大岩がいくつも顔をのぞかせている。地図・コンパス・高度計を総動員した結果、目指すルートは陰鬱な左の谷だった。ダメ元で歩き出す。大岩は右から越えられた。谷が狭くやや切り立っているので山腹は歩けない。細くなった水流沿いに歩くしかない。何度か足を濡らしてしまった。

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1230mで再び谷が分かれる。地図・磁石を確認し、右の切れ込みに入る。上は明るい。稜線は近そうだ。そして、こんな所に石積みがあった。

水流が消えた。足が冷たい。斜面が急になった。枯れた笹薮が現れた。おいでなすったね。と思う間もなく、見事に明るい稜線に出た。

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稜線に出た所の木には「2→」と朱書きされていた。高度計は1360mを指していた。大成功。

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まぶしい位の都県境を行く。

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蕎麦粒山山頂で、一本吸った。誰も現れなかった。仙元峠へ向かう。


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仙元峠着。晴れてはいるが、雲が多い。雲取山、芋の木ドッケは雪で覆われていた。鷹ノ巣山は山腹がやや白くなっている程度。富士山は見えない。

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仙元峠に架かる旗には、わけの判らない文字がびっしりと書き込まれている。

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仙元峠には、此花咲耶姫が石祠に祭られている。その台座に腰痛平癒と健脚祈願の下駄が奉納されていた。まるでおいらのために奉納されているようだ。

昼飯を食っていると、カランカランと仙元尾根の方から音がしてきた。いまだかつて仙元峠で人に会ったことが無い。
やってきたのは、ロックンローラー氏だった。上下ジーンズで長髪。長髪の先端だけ赤く染められている。ムムッ。何者だ!およそ、仙元峠に似つかわしくない御仁だった。
話を聞くと、何と藪山愛好家だった。それも、専門は足尾だと言う。詳しく話しを聞いてビックリした。
足尾でも松木川流域のみ。袈裟丸も日光も行っていない。大平山の尾根は虱潰しに登ったらしい。沢入山から見えた絶壁の尾根も登ったと。石塔尾根も松木川から直上する尾根の殆どを登ったと。まさに、命知らずのロックンローラーであった。三股山も松木川から登ったらしい。船石新道も歩いていた。庚申山からオロ山の注意事項を聞いたり、仁田元沢のスリツトダムが右側から簡単に越えられることなど、いろいろと教えて頂いた。まぁレベルが違いすぎるのでそのまま、と言うわけには行かないだろうが、参考になった。
足尾のピンチヒッターがこの山域だそうだ。大久保谷に詳しかった。今日はこれから七跳山から天目山林道を歩くと言っていた。下山時は暗くなるのでは、と聞くと、ヘッデンがあるから大丈夫との事。すごい御仁だねぇ。ちなみにネットへの記録の投稿はないのか聞いた所、一切無しとの事。残念。

ロックンローラー氏を見送り、おいらは下山。山頂直下の砂糖をまぶしたような雪に苦しむ。

所で、仙元尾根は、大幅に手が加えられていた。迷いそうな所にトラロープが張られていたり、急斜面にロープが付けられたりしていた。
嬉しいことに、彩の国キャンプ場に下る標識が取り付けられていた。

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この道が使えれば、今回のコースも短縮できる。


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三つドッケなどを眺めながら下る。と、

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最後の急斜面に木段と、補助ロープが取り付けてあった。下るにちょうど好い木段であった。と言うことは・・・、登りが大変と言うことか・・・。


今年最後の山としては予定外のルートとなったが、満足できた。藪山愛好家の話が聞けた事が、そう思わせるのかもしれない。