山行日:2010.9.18~20
目的地:錫ヶ岳
コース:9/18西の湖入り口(10:20)~柳沢川の赤い橋~柳沢右岸~No18床固(11:00)~宿堂坊山東尾根~宿堂坊山(13:10)~ネギト沢のコル(13:30泊)
9/19ネギト沢のコル(6:20)~1991m峰(7:00)~荷鞍尾根の頭(7:30)~三林班沢の頭(7:50)~2077m峰(8:40)~2241m峰(10:10)~(11:15)錫ヶ岳(12:10)~錫の水場(12:50泊)
9/20錫の水場(5:50)~白桧岳(?)~白根隠し山(7:30)~避難小屋分岐(8:10)~前白根山(8:25)~外山分岐(9:10)~湯元スキー場(10:10)~湯元バス停(10:30)

錫ヶ岳に行きませんか?日帰りできそうなルートが見つかったので、と誘われてから、かれこれ15年位たつか。当時は(今も)脚力に自信が無く迷惑を掛けることになると思い、断った。それ以来、気になっていた山である。
三年ほど前に日光の峰修行三峯五禅頂の存在を知り、以前に増し錫ヶ岳に対する憧憬の思いが深まった。錫ヶ岳に達するコースを検討するため、白根隠し山や宿堂坊山を訪れた。歌ヶ浜からは白根山よりも錫ヶ岳をよく眺めていた。
その結果、宿堂坊山から前白根への縦走を決意した。ただし、鈍足のおいらでも無理なく歩くため、2泊3日のテント泊を予定した。3連休であって晴れの予報の日はなかなか訪れなかった。そして、今回、3日間の晴れ予報が出たのだ。

9/18
前夜は、仕事帰りが遅かった。パパッと荷造りが成功。いつに無く、アッサリと荷が収まる。
平日通りの起床。今日の行程は短いので気楽だ。外環道は、すでに渋りがち。東北道は、車は多めだが、渋滞することは無かった。日光も秋の行楽前で混雑なし。赤沼茶屋の駐車場にアッサリ入る。
軽装の皆様と伴にハイブリットバスに乗ると、後ろの座席のオバサマに話しかけられる。異常なリュックの大きさが目を引いたらしい。但しテント泊としては、やや小ぶり。限界まで荷を少なくしたつもり。

西の湖入り口で下車。多少遠回りにはなるが、柳沢林道を見送り、赤い橋を渡り、柳沢川右岸に出た。

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橋を渡り、柳沢川右岸を遡る。

No.18床固を確認し、宿堂坊山東尾根の南側を僅かに迂回。低く見える東尾根のタワミに登る。下部で一箇所北側に巻き、後は尾根通しに進む。重荷に耐えかね途中で1回休憩。展望の無い尾根を黙々と登る。
すると、お一方降りてきた。

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宿堂坊山着。あいかわらず、物静かな山頂だ。握り飯2個を食う。

一服後、ネギト沢のコルに向かう。途中、道が途絶えるも赤い鉄板標識に導かれ、今夜の寝ぐらネギト沢のコルに到着。早速、三峯五禅頂夏峯ゆかりの石祠をおがむ。昨年見た時よりも、笹に埋もれている感じがした。そういえば、その時はコルの一部が刈り払いされていた様な気がするが、今回は全面的に腰高の笹に覆われている。キャンプ適地捜しにそこらをうろつく。

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笹が薄く平坦な場所を見つけ、さっそくテントを張る。

水を汲みにネギト沢を下る。5分足らずで水にありつく。テントに戻り、コーヒーでも飲むか。
テントに戻りると、藪がガサガサうるさい。緊張して辺りを見回していると、宿堂坊山の方から頑強な2名が現れた。不動沢のコルからの縦走だそうだ。凄い。彼らは男嶽の宿の石祠の前にテントを張ったようだ。

のんびりとコーヒーでも飲もうと、リュックをまさぐりコンロとボンベとコッフエルを捜す。ボンベとコッフェルはすぐに見つかった。コンロが無い!無い!リュックの荷を全て放り出したが、無いものは無い。血の気が引いた。
あせっても仕方がない。タバコに火を着けた。指先が微妙に震えていた。
このまま帰るか。明日帰るか。計画を続行するか。
このまま帰って、ハイブリットバスの最終に乗り遅れたらシャレにならない。
火を使わずに食えるものをリストアップした。
ロールパン           99Kcal/個×9個=891Kcal
スライスチーズ         59Kcal/枚×8枚=472Kcal
トマトケチャップ121Kcal/100g×(12g×8袋)=116Kcal
シーチキンL          240Kcal/缶×2缶=480Kcal
バターピー      619Kcal/100g×155g=959Kcal
かんそ芋        293Kcal/100g×90g=264Kcal
ピーナッツチョコ       465Kcal/袋×1袋=465Kcal
総カロリー                    3647Kcal

今日の夕食から3日目の朝飯までで合計5食。
3647Kcal÷5食=729Kcal/食
一日当り
729Kcal/食×3食=2187Kcal/日

意外とカロリーを摂取できるではないか。確か成人の一日当りの必要カロリーは1400Kcal/日ではなかったか?ならばいける。
とりあえず、今宵の晩飯は、
ロールパン2個
ケチャップ2袋
チーズ  2枚
シーチキン1缶
カンソイモ1袋
合計843Kcal
けっこうカロリーを摂取できたな。しかし、腹は満たされなかった。水を飲み、タバコを吸いまくり寝るしかなかった。

9/19
4:00に起床。なかなか明るくならない。
本日の朝飯。
ロールパン2個
ケチャップ2袋
チーズ  2枚
合計339Kcal

元々朝飯はさして食いたくないのでこれで満足。今日も行程は短いので、ゆっくり目に出発。それでも、頑強な2人組よりは早い出発となった。
まずは1991m峰を目指す。予想通り、道は消え勝ち。ただ赤い鉄板標識が心強く導いてくれる。笹は膝丈程度。すぐにズボンが濡れ、雨具をつける。比較的快調に1991m峰に着く。

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こんな感じの密林を行く。

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気の早い紅葉。

荷鞍沢の頭を越え、三林班沢の頭に到着。御料局甲界285を確認。さらに密林の尾根を進む。踏み跡が尾根から東側に移った。これに従う。赤い鉄板を見失う。すぐ上にピークを感じ、藪を掻き分け登ると刈り払われた小ピークに登りついた。地面に甲界288の石柱が頭を出していた。さらに西に数m藪を掻き分けると大展望地に出た。2077m峰と確信?した。

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2077m峰からは群馬側、また国境稜線がよく見えた。錫ヶ岳西面の石体群(全踏査・日光修験・三峯五禅頂記載)が見えるような気がした。

2077m峰は白砂のピークで、小岩が露出していた。ここには赤ペンキでうっすらと「スズ」と大書されていた。

小さく下り、再び登りとなる。この辺りよりバテだす。たまらずピーナッツチョコをカジル。半分食ってしまった。約200Kcalを消費。ここで、頑強2名に抜かれる。ここでヘタっていると、さらに女1・男2の軽装パーティーに抜かれる。聞けば、2077mに直接登り日帰りだと言う。涼しい顔をしたベテラングループだった。おいらのコースもすぐに理解してくれた。精通者のようだった。
2241mの登りは嫌気がさした。笹原となり、赤い標識は極度に少なくなり、踏み跡は足探りとなる。尾根型も乏しく適当に登るしかない。ただし、展望は抜群に良い。

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錫ヶ岳手前の登りより。中禅寺湖と男体山・大真名子山。左端は女峰山と思われる。小真名子山は女峰山と重なるように肉眼で見えた。

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今日辿った尾根。宿堂坊山からの尾根が見えている。遠く石塔尾根の白い峰々も確認できた。

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笹原の急斜面から苔むした森へ入ると錫ヶ岳は近かった。

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錫ヶ岳到着。正直に嬉しかった。

錫ヶ岳山頂には、頑強2名とベテラン精通者3名が休んでいた。おいらは、ザックを放りだした。展望が無いといわれている山頂だったが、僅かに東に出ると、笹原が広がり、表日光連山がよく見えた。三角点は僅か西側にひっそりと埋まっていた。

おいらは、ベテラン3人に2077m峰へのルートを聞いた。懇切丁寧に教えてくれた。3人組みが写真を撮ってくれと云う。錫ヶ岳の標識の前に揃った3人の前に「栃木100名山完登」の手ぬぐいが広げられた。おそらく、女性が達成されたのだろう。晴れ晴れとした顔をしていた。栃木100名山を達成することは容易なことではない。道の無い山や超ロングコースを強いられる山などがある。早速、大佐飛山の事を聞いた。3時出発で、夕方帰着だそうだ。大変だったと言っていた。
3人組みの一人から大振りの握り飯を食わないか、と言われた。ありがたく頂くと同時に、バーナーを忘れたことを言ってしまった。するとザックから菓子パンを出してくれた。しかし、これから帰るとの事。難路なので、もしもの事も考えられる。それは、丁重にお断りした。

すると、若い男女がタイツ姿・軽装で現れた。どこから来たのか聞くと、ヤジノ沢右岸尾根経由でここまで来たという。そしてこのまま湯元まで駆け抜けると。ムムッ・・・。この二人ただ者ではない。もしや、最近超高速で三峯五禅頂夏峯コースを駆け抜けている「su 3777m」さんではないかと思ったら、まさにその通りであった。おいらの、「寒沢の宿敗走記」なども読んで頂いているようで恐縮した。御夫婦で超絶的走りをしていらっしゃる。寒沢の宿には、太郎山から駆け下るつもりのようなので、今後も注目したい。

皆様、三々五々山頂を去っていった。まさか、これほど錫ヶ岳に人々が集まるとは思いもよらなかった。達人たちに会えて嬉しかった。しかし、静寂が戻ると、これが普段の錫ヶ岳なのだろうと、一人納得したのだった。

もう少し山頂に居ようと思ったが、これほど多くの人が訪れているわけだからテント場が一杯になりはしないかと心配になった。スケベ心というものか、そう思うとリュックを背負っていた。

錫ヶ岳の山頂を過ぎても好展望は続いていた。

続く。